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1973「転勤ジプシークロニクル」

我が家はいわゆる転勤族だった。 父に辞令がでると、母はとっとと荷造りや引っ越しや子供たちの転校の手続きを済ませ 2週間後にはもう転勤先の新しい土地で暮らし始めるのだ。


まるでジプシーか、ボヘミアンだ。


ものごころがついたころには そんな暮らしが当たり前の中で育っていた私は、 家やインテリアとは常に流動的なものだ

という感覚を無意識のうちに植え付けられたと思う。



典型的な昭和の中流家庭を絵にかいたような我が家は ミニマリストなどではなく、はっきりいって多くの荷物を所有していた。 綺麗な箱があれば残し、 使えそうな瓶があれば残しておき、 母のそんな収集癖もあいまって本当に「モノが多い」家だったけれど どうせすぐまた引っ越すからといって家の中にダンボール箱のまま 転がっていたことは一度もなく、 引っ越し先ではすべての荷物を開梱し、所定の位置をきめてきちんと収納し、 新居に合わせてカーペットを敷き、 カーテンをぶらさげ、 かわいらしいスタンド照明を置き、 壁にミラーをかけ・・・そして花を飾った。



とりあえずの住まいだから とりあえずのままで暮らす、なんてことをしない われわれの寿命の中には 「とりあえず」の時間なんてあるのだろうか? いつだって今が、いまだ。

無難な、だとか、飽きが来ない、ではなくて 今いちばん心が惹かれるままのインテリアに整えるのがいい と私は考えているのだけれど その思想は、幼いころの体験がベースになっているんじゃないだろうか と、このごろなんとなく思う。


 

1974 投稿者:みやけりか インテリアタイムマシン~みんなでつなぐリレーブログ~




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